【Form2導入事例】「試作を外に頼む理由がない」―迅速・高品質の3Dプリントで研究開発を加速する(立命館大学川村研究室 東京分室)


光造形方式のデスクトップ3Dプリンタ「Form2」。高い造形品質や素材の豊富さが特徴ですが、実際にはどのような場面で利用されているのでしょうか?現場での使われ方を調査するべく、YOKOITOからForm2を購入された方々にお話を聞きに行くことにしました。

取材・執筆:淺野義弘

今回訪れたのは、立命館大学理工学部・川村貞夫研究室の東京分室。企業とのコラボレーションのなかでロボティクスの研究を進めるべく、2016年4月に東京に設立されました。常駐メンバーは3名と小規模ながらも、事業化を目指しながら実践的な研究開発に取り組んでいます。神田駅から徒歩3分、ロボットアームがひしめくオフィスにてお話を伺いました。

左から順に、西田亮介さん・立花京さん・立花舞さん。

立花京さん:川村研究室はロボットの運動制御をテーマにしていますが、なかでも私たちは産業用ロボットアームの制御方法について研究しています。

これまで産業用ロボットアームの動きを決定する際には、動作中に通過する位置をひとつずつ入力し、それを再現する「ティーチングプレイバック」という手法が一般的でした。しかし、アームの土台や関節・対象物の位置や角度を厳密に計算しているため、設定値に誤りがあったり、本体や対象物の位置がずれてしまったりすると正しく制御できなくなってしまいます。キャリブレーション(位置の調整)に手間がかかることに加え、外部環境の変化に弱いという問題を抱えていました。

そこで、私たちはロボットアームにカメラを取り付け、画像処理によって高い精度で位置関係を認識し、その情報をもとにアームを動かす「視覚フィードバック技術」を開発しました。カメラを通じた「視覚」からのフィードバックを利用することで、細かなキャリブレーションや厳密な環境の整備を行わなくても、1mm以下の精度でアームの手先を制御できるようになったんです。

たとえば、直接動きを教えてあげなくても、こんな風に電子工作用の細かいパーツを挿すこともできるんですよ。

―すごい!人間でもたまに失敗するのに……(笑)。このピンを持っている先端の部分は、3Dプリンタで作られているんですね。

FFF方式のプリンタで出力したモデル(左)とForm2で製作したモデル(右)

立花京さん:はい、メンバーがそれぞれCADで設計したものを3Dプリントしています。カメラの付ける位置や用途のバリエーションが豊富なので、一週間にひとつくらいのペースでどんどん試作しています。

―3Dプリンタ以外の工作機械や、他社への外注を利用することはないんですか?

立花京さん:3年ほど前、立命館大学のキャンパスで活動している時には、CNC切削機でアルミを削り出していました。当時は3Dプリンタを使うという発想自体ありませんでしたが、いま比較してみると、かかる時間や価格のコストは3Dプリントよりも大きかったです。また、3軸の加工機を利用していたので、水平方向の穴は切削加工後に手作業で開ける必要があり、精度が保証しづらいという問題点もありました。

3Dプリントの外注サービスを利用したことはありません。作業工程に別の人が入るのが煩わしいと感じてしまって。

西田さん:僕たちの強みはスピード感なんです。大企業に頼むと半年かかってしまうような案件でもすぐに対応できるようにしたい。プリントを依頼してからデータを確認してもらい、印刷したものを数日かけて送ってもらう……なんて、とても待っていられないです。自分たちで必要なものが作れるなら、外に頼む理由はありません。