Form2 導入事例

さまざまな現場でどのようにForm2が活用されているのかをご紹介します。

取材協力 : 株式会社キャステム

光造形方式のデスクトップ3Dプリンタ「Form2」。高い造形品質や素材の豊富さが特徴ですが、実際にはどのような場面で利用されているのでしょうか? 今回は、京都の西院駅からほど近いキャステム京都LiQビルを訪ね、マネージャーの石井裕二氏にお話を伺いました。

株式会社キャステム

新規事業本部

IRON FACTORY 課長

石井 裕二 Yuji Ishii

もみじ饅頭づくりから始まり、現在は金属部品の鋳造を手がけるキャステム

今日は株式会社キャステムそしてLiQビルのご紹介と、導入されたForm2についてお話を伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。

石井氏:LiQは「リキュー」と読みます。千利休や桂離宮から名付けました。 まずは、キャステムという会社のことを紹介させていただきたいと思います。 キャステムは広島県福山市にある金属部品製造メーカーで、 工場は煙突がキリンの形になっていたり、秋葉原に金属カフェ(アイアンカフェ)をやっていたり、宮古島で農業事業を開始したりと新しいことにチャレンジしている面白い会社です。社長は折り紙飛行機のギネスホルダーで、自宅が折り紙飛行機博物館になっており、 地域の企業を巻き込みながら子供達に折り紙飛行機を教えたりしています。 会社のルーツはもみじ饅頭を作っていた会社で、 50年前に現在の会長が鋳造業を始めて、現在では指先に乗るような極小サイズから両手で抱えるくらいのサイズまでの金属部品を製造しています。 工作機であるとか建築・医療・食品や重要保安部品など両手で抱えられるものから小さいものでは米粒の1/4くらいのものまで作っています。

3Dプリンターが営業員の 図面読解技術の差をカバー

ここから3Dプリンターの話に移りますが、最初にFDM(熱溶解積層方式)を導入したのが2015年になります 。営業拠点が関東、名古屋と広島と大阪、それに京都にありますが、 営業員が3Dプリンターを使って営業を始めることによって、図面を読む力に差がなくなるという効果がありました。FDMというおもちゃみたいな3Dプリンターでも我々のビジネスでは十分でした。 そこから一気に台数が増えて今では20台以上の3Dプリンターを導入しています。そのうちの3台がForm2です。 Form2を導入した理由はシンプルで、他社製品では品質やコストが満足できなかったということです。

実際に3Dプリンターをどういうふうにお使いですか?

今まではロストワックス精密鋳造のプロセスの中の金型を起こす部分で金額や期間的にも非常にお客様にストレスを与えてしまっていました。そこに金型なしで3Dプリンターで出力したものをそのままプロセスの中に当てはめることができました。 当初FDMで始めた時に、我々は精度や積層痕などの品質を気にしていましたが、従来のお客様は気にしていませんでした。試作のつもりで鋳造したものを見せに行くと、お客様が自ら機械加工するからそのままで十分使えることがわかったのです。 そもそもロストワックスの製法自体が機械加工ほどの精度が出ないので、精度が要求されるものは必ず機械加工が必要になります。 だとしたらFDMの精度で十分お客様を満足させることができます。それよりも納期やコストがかからなくなるほうが重要だったのです。これにより、開発品のデザインは後回しにして機能だけを早くチェックし特許を先に取りたいといった要望にも応えられるようになりました。 一方、Form2は、ジュエリーの製造工程をそのまま一般産業部品へ応用するといった試みに利用しています。コップ一杯の金属を溶かして流し込み、その後圧力をかけて精細な部分まで浸透させるというやり方にForm2を利用しています 。FDMではできないような小さな形状や精細なものを再現できるということで、Form2で出力した造形物をゴム型でとって、その後材料を選んでもらい三日間で量産してしまうといったことができるようになりました。

Form2で実感した「安心感」

今後、従来の工業製品の分野にForm2が入っていくようなことは起きるのでしょうか?

FDMでは表現できないような精細なものには既にForm2を使っていますし、Form2で造形した試作品を見せると打ち合わせがスムーズに進むというのも実際にあります。我々にとってCTスキャナーとForm2は最強の組み合わせです。 また、信頼性という意味ではForm2には安心感があります。造形の失敗も少なく、夜出力開始して朝来ればちゃんと出力完了しているのは当たり前のことのように思えますが、他社製品で多くの失敗を見ているので圧倒的な信頼性の高さを感じます。材料の価格も他社に比べてリーズナブルで好感が持てます。今後も面白い材料が出てくるのを期待しています。

Form2(工業) x KYOTO(文化・芸術)

最後に、ここLiQビルをご紹介ください。

3Dプリンターを導入して、アナログ的な鋳造の世界からデジタルを組み合わせると、新たな付加価値があるものが生まれ、そして精度以外にも価値があるということがわかり、金属部品だけではなく様々な取り組みをするようになりました。そのような経緯で、ここ京都にLiQビルを開設することになりました。広島の本社で行ってきたこれまでの新しい取り組みを、意味のある場所でやろうというのが始まりになっています。ここでも、本社でやってきた金属部品の試作を受け入れたり、樹脂部品の試作やCTスキャンサービスと3Dプリントサービスそれにワークショップやグッズ制作などもやっていこうと考えています。 LiQビルは2018年4月にオープンしましたが今のところプロ向けの開発支援サービスとして運営しています。京都を選んだのは狭い範囲に教育機関が多いので研究分野へのアプローチがしやすいなどパイプ作りが期待できるのではないかと考え、また若者が非常に多いので、このような工房に若者たちが集まっていろんなアイデアなど、ものづくりの可能性がここで見出されることを期待したからです。 Form2を導入したことによって、今までの我々の部品作りの中では●▲◆といった機械部品の組み合わせが圧倒的に多かったのが、有機物のような形状と従来の機能する部品がどんどん近づいてきたと感じています。その中で求められるのが、工業的な知識に加えてデザイン的な感性のような数字では表せないような部分。文化や芸術豊かな京都に拠点を持つことによって、感性豊かな先生や学生だけでなく職人たちにも利用してもらえるような場所になって欲しいですね。

3Dプリンターは従来のビジネスの範囲ではFDMで十分だったが、Form2を導入することによって従来のビジネスの範囲を超えるアートの世界まで広げられるような精細な表現ができるようになったということですね。今日はありがとうございました。

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