光造形方式で3Dプリントされたパーツの塗装ガイド(サーフェイサー処理編)


今回はformlabs Form2 3Dプリンターでプリントされたパーツを塗装する際、より完璧な仕上がりにする為、最初に行う表面処理の方法をBrian Chan氏(@chosetec)が紹介します。

※原文:https://formlabs.com/blog/priming-3d-printed-parts/

塗装プロセスの中のある1つのステップが、見るからに3Dプリントされたモデルをプロレベルのモデルに変える鍵になります。ほとんどの初心者はそれを省いてしまいますが、経験豊富な製作者ならば必ず行なっています。それは簡単なステップですが、塗装を楽にし、完璧な仕上がりをもたらします。そのステップとは、サーフェイサーによる表面処理(以下サーフェイサー処理)のことです。

サーフェイサー処理を素早く理解してもらえるよう、この記事は4つのセクションに分かれています。すぐに作業を始めたいのであれば、セクション3と4に進んでください。

利用例:サーフェイサー処理の概要。 工具:我々が見つけ出した、仕上げに最適なツール群。 工具のチェックリスト:始める前に揃えておきたい道具のチェックリスト。 手順:サーフェイサー処理に使えるテクニック。

利用例

Brian Chan氏による赤ちゃんウミガメの可動式モデル。サンドペーパーをかけサーフェイサー処理を施した状態。 この記事はあらゆる場合に活用していただけます。例えばインダストリアルデザインショップで働いていたり、3Dプリントされたキャラクターの仕上げ中だったり、Kickstarterでまもなくヒットする製品のプロトタイプを作成しているところだったりと、いろいろな場面で。

パーツに仕上げの塗装を行えば、存在感と光沢感が得られます。しかし、生き物の3Dモデルを作る人であれば、単に塗料しただけでは3Dプリント時の"粗"を隠し切れないことを知っています。下処理を行わないと、3Dメッシュ状の大きな三角形や、細かい積層の跡、そして支え材の痕跡が表面に残ります。人目をひく造形物を完成させたいなら、サーフェイサーは必須です。

サーフェイサー処理は、塗装の前に表面をクリーンに仕上げることを目的としています。サーフェイサーの色であるニュートラルグレーによってモデルの不完全な部分が目立ちますので、そこを研磨したりモデリングパテで埋めたりして準備を整えます。これにより後の塗装工程の結果がはるかに良くなり、より完成度の高い造形物に見えるようになります。(特に光沢仕上げの場合に顕著です。)

サーフェイサー処理の前に、表面を滑らかにしましょう。サーフェイサーは非常に小さな亀裂や穴を埋めることができますが、薄く塗られるため、表面のディテールはそのまま残ります。紙やすりをかけて1回目のサーフェイサー塗装を施し、表面に粗がないかもう一度確認します。ほとんどのサーフェイサーは非常に滑らかに仕上がるため、直接光を当てて観察するとハイライト部分がくっきりと見えるはずです。最後にサーフェイサーをもう一度塗り、メーカーの指定する時間乾燥させれば、本塗装の準備完了です。ここでさっと磨きをかけても良いでしょう。

工具

このようなツールがあれば、サーフェイサー処理のステップが簡単になります。

サーフェイサー サーフェイサーは特殊な塗料で、パーツに強力に吸着し、塗料前の表面を均一に整えます。サーフェイサーによって用途は異なります。3Dプリントされたパーツには、スプレー式のサーフェイサーが最も適しています。プリントされた部品を素早く均一なコーティングで覆うためです。ブラシで塗るタイプのサーフェイサーを使うこともできますが、扱いが難しいため、この工程ではなくむしろ仕上げの微調整などの工程に適します。

一番良い方法は、プラスチック用のサーフェイサーと塗料を、同じブランドで揃えることです。私たちはKrylonとMontanaを愛用しています(どちらも濃いめの調合です)が、タミヤのプラモデル塗料に勝るものはありません。タミヤのものは表面の繊細なディテールを維持しながら、非常に薄く均一な仕上がりになります。

ロータリーツール やすりがけを急ぎたい時に便利です。互換性のあるビットに交換することで、ロータリーツールは様々なタイプのやすりがけや研磨を行うことができます。例えばスチール製のブラシは表面の傷跡を滑らかにし、ドラム状に巻かれた紙やすりははサポート材の跡をすばやく消し去ります。ロータリーツールは粗いので、滑らかな仕上げにはサンドペーパーが必要です。有名なブランドがたくさんあり、米国ではDremelとCraftsman、ヨーロッパではProxxonが人気です。パーツが焦げないように回転数を最小(通常500-1000 RPM)に下げ、軽いタッチを心がけてください。

鉄工やすり

最もシンプルで効果的なツールの1つである鉄工やすりは、サポート材を除去し、表面を磨き上げます。固めに握ることで、ロータリーツールを使用するより、狙った場所の痕跡を除去しやすくなります。ワイヤーブラシを手元に置き、頻繁にやすりの歯を掃除してください(そうしないとプラスチックや樹脂がベタベタに絡みつきます)。鉄工やすりは、ロータリーツールもそうですが荒い跡が残るため、サポート材の跡を大まかに取り除くのに最適です。

サンドペーパー 店頭で最も地味な存在であるサンドペーパーは、ずっと大昔から使われてきました。10年ほど前にはサンドシートも登場しています。ホームセンターで手に入る柔軟なサンドシートは、サンドペーパーより15倍も長持ちします。反り返ったり、穴が開いたり、折り目がついたりしません。濡らして使うとほこりが減り、磨き面の目詰まりを防ぎます。フレキシブルなので、込み入った小さな空間や曲面にも使えます。

粉塵除去 濡らしてサンドシートをかけたとしても、多少の塵は残ります。水と柔らかいブラシ(古い歯ブラシで十分です)で細かな付着物を取り除きます。徹底的に綺麗にしたい場合は、安価な超音波洗浄器を使って、コーナーや割れ目に詰まった微粒子を除去するのもいいでしょう。水が硬水の地域で作業する場合は、脱イオン水または蒸留水を使用すると、塗装に斑点ができなくなります。

タッククロス タッククロスとは、残ったほこりを取り除き、塗装前にクリーンな表面にするための、柔らかい綿の布です。タッククロスを使用する前にモデルを乾燥させてください。タッククロスの表面はワックスがかかっているので、水分があるとうまく機能しません。

土台、支柱、ドリル この簡単な仕掛けで、スプレーブースで起きる悲劇を防げます。パーツにある既存の穴などを利用して、パーツを支柱に取り付けます。これによりスプレー中に素早く動かすことができ、指紋を残すことなく隅々まで塗装できます。モデルのあらゆる面を均一に塗装したい場合、これはほぼ必須のテクニックです。様々なサイズの支柱を揃えることをお勧めします。モデルに開ける穴のサイズを最小限にするには、小さなサイズから始め、モデルがしっかりと固定されるまで徐々に大きくしてください。さらに木材やMDF製の土台ブロックを用意し、対応するサイズの穴を開け、支柱を固定します。これで、ハンズフリーでスプレーに専念できます。

安全のための器具 スプレーでの塗装は空気中に微粒子を出し、有機溶剤を使用して作業しますので、健康上の危険を伴います。米国の場合は NIOSH(米国国立労働安全衛生研究所)承認の呼吸器を使用し、換気の良い作業場で作業することを忘れないでください。塗装作業中はニトリル手袋を着用してください。これにより手に塗料が付着せず、また、モデルに指紋が付かなくなります。

工具のチェックリスト

タミヤ製サーフェイサー ロータリーツール 鉄工やすり サンドペーパーまたはフレキシブルサンドシート(220または320番と、400または600番) 水 柔らかいブラシ(極細毛のもの) タッククロス 木製土台ブロック(モデルより少し大きめのサイズ) ドリルとドリルビット モデルを保持する支柱 安全のための器具:手袋とマスク

手順

1.モデルからサポート材を取り外します

ニッパーで不要部分を切り取るか、手でサポート材を剥がしていきます。細かい部分では、精密ナイフやカミソリの刃を慎重に使用してサポート材を切り取ります。

2.サポート材の跡をやすりがけします

ロータリーツール、鉄工やすり、または220番のサンドペーパーを使用して、モデルからサポート材の跡を丁寧に取り除きます。

3.サンドペーパーをかけて滑らかにします

このステップどれだけ滑らかにできるかが、最終的な仕上がりに影響します。220番か320番のサンドペーパー、またはフレキシブルサンドシートを使い、モデルの表面全体をやさしくやすり、目詰まりしている粒子や下処理中の傷などを取り除きます。400番または600番でさらに追い込んでください。

4.モデルを支柱に乗せます

モデルの目立たない場所に穴を開け、細い支柱にモデルを乗せます。続いて土台のブロックに支柱を挿入します。

5.表面を洗浄してほこりを除去します

ブラシと水でほこりを洗い流します。脱イオン水または蒸留水(スーパーで手に入ります)を使い、表面を徹底的に洗浄することをお勧めします。こうすると斑点が残りません。

6.タッククロスで表面を拭きます

ニトリル手袋を着用します。モデルの表面上を、やさしく細かなストロークで、タッククロスを静かに動かします。同じ方向に動かすようにしてください。ただし、細かな亀裂も忘れずに拭いてください。

7.サーフェイサーを混ぜます

スプレー式サーフェイサーの缶を2〜3分間、円を描くようにゆっくりと回します。高圧ガスが溶剤とが混ざってしまうので、振らないようにしてください。溶剤にガスが混入すると、塗装に泡ができてしまいます。ここでは、顔料を溶媒に完全に溶かすことが目的です。1分ほど回すと、ミックスボール(「エンドウ豆」と呼ばれます)がスムーズに缶の中を転がり、塗料が完全に混ざり合っていることが分かるはずです。

8. 1層目のサーフェイサーをスプレーします。

モデルから6〜8インチ(約15〜20センチ)離れたところから、短く素早いストロークでスプレーします。 各ストロークはモデルより手前で開始し、モデルを通り過ぎてから終了します。すばやく動かすことで、モデルをスプレー中に回転させます。塗りすぎて表面に液が溜まらないように気をつけてください。最初の段階では非常に薄く塗り、徐々に濃く重ねていくと良いでしょう。

9. 1層目のサーフェイサーをチェックします

塗り終わったら、やすりやパテの追加が必要な箇所をチェックします。必要に応じて、細かい(600番より大きな数字の)サンドペーパーで部品をさらに磨きます。これを行なった場合は、次にスプレーする前に、ステップ5-6を繰り返して塵を取り除いてください。

10.最終層のサーフェイサーをスプレーします

素早いストロークでサーフェイサーを上塗りします。サーフェイサーはなるべく薄く塗り、色が不透明になったらすぐに止めるように気をつけてください。入念に塗り過ぎてしまいがちですが、サーフェイサーが厚すぎるとディテールが潰れてしまいます。

最後のサーフェイサーが終われば、塗装の準備は完了です!このガイドの次回の記事では、モデルにスムーズな塗装を行い、クリアコートで表面を保護する方法について説明します。

赤ちゃんウミガメの素晴らしい可動式モデルを提供してくれた、友人であり同僚でもあるBrian Chan氏(@chosetec)に感謝します。Shapewaysショップで彼のデザインを応援してください。また、3D Hubsで彼のコイのモデルを買えば(彼のモデルがカートに入った状態で表示されます)、10%が彼に届きます。

2017年4月26日

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