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PreFormでFuse 1+の材料コスト・造形時間を計算をしてみた



はじめに

今回のブログでは、Formlabs社のSLS方式3Dプリンター「Fuse 1+」を使用した材料コストと造形時間の計算方法について紹介します。


Fuse 1+は、SLS(粉末焼結)方式の3Dプリンターで、高精度かつ耐久性のあるパーツを造形するのに適しています。

PreFormは、Formlabsのプリンター専用の無料プリント設定ソフトウェアで、簡単に造形用データを作れるのが特徴です。


材料コストの計算は、プロジェクトの予算管理や製造コストの最適化において非常に重要です。

コスト計算により、効率的なリソース配分と費用対効果の高い生産が可能となります。また、導入前の運用コスト計算にも役立つため、事前に試してみるのも良いでしょう。



※材料コスト自動計算用エクセル:以下のエクセルをダウンロードいただき、簡単に材料コスト計算が可能です。

計算式の解説などについては以下にてしています。



今回計算に使用する材料やモデル

PreFormを使って材料コスト計算をする場合は、事前に以下の情報を決めておくとスムーズです。


  • 使用したい材料(Fuse 1+で使える材料一覧はコチラ

  • 最新の材料価格

  • コスト計算をしたい3Dモデルデータ(.stlもしくは.objでご準備ください)


今回は例として以下の情報を使っていきます。


  • 使用材料:Formlabs Nylon 12パウダー

  • 材料の価格:6kgで94,000円(税別)※2024年6月現在の価格です。最新の価格はお問い合わせください。

  • 3Dモデル:自転車ペダル(Formlabs社提供データ)


では早速PreFormを使ってコスト計算していきましょう。



コスト計算の手順

①PreFormをダウンロードする


まずはPreFormをダウンロードします。


Formlabsの公式サイトの上部メニューにある「ソフトウェア」にカーソルを合わせてください。



ソフトウェアにカーソルを当てると、メニューが展開されますので、一番左の「PreForm」をクリックしてください。




PreFormがダウンロードできるページが出てきますので、MacもしくはWindows、お客様がお使いの方を選びダウンロードを開始してください。


PreFormは導入前の段階でも無料で誰でもダウンロードできるソフトウェアです。



②PreFormでプリンタや材料を設定をする


PreFormがダウンロードできたら早速開いてみましょう。

プリンタ・材料・積層ピッチなどの設定ができます。


今回は、Fuse 1+を使って、材料はNylon 12パウダーにてコスト計算をしていきたいので、以下のように設定していきます。


  1. プリンタを選択:Fuse 1+を選択

  2. 素材を選択:Nylon 12を選択

  3. 積層ピッチを選択:Nylonパウダーは粒径を変更することができないため、積層ピッチは0.110mmから変更ができません

  4. Print Setting(造形設定)を選択する:一般的に使用するDefaultを選択しましょう


ここまで設定ができたら、右下の「適用」をクリックします。



③コスト計算したいモデルを入れてみる


次に、コスト計算をしたいモデルをビルドチャンバーに入れてみましょう。ビルドチャンバーは実際に造形がされる範囲のことです。この中に1回の造形で計算したい分を入れていきます。


ファイル→開く より該当モデルを選択します。

該当モデルを選択すると、ビルドチャンバー内にモデルが入ります。



④PreForm内キーボードのショートカットについて


ここで、少しみなさんが操作しやすいように、PeFormでのショートカット一覧が見れる項目をご紹介します。


ヘルプ→キーボードのショートカット より、ショートカット一覧が出てきますので、

カメラを移動させたり、モデルの角度を変えてみたり少し触ってみてください。




⑤モデルを複製して、配置してみる


今回は自転車のペダルを10個チャンバーにいれてコスト計算したいと思います。

まず、ビルドチャンバー内のペダルをクリックして選択します。

左のメニューバー、下部の四角が4つ並んでいるアイコンをクリックすると、レイアウトの調整ができます。

そこで複製の数を9にし、作成をクリック。



9個複製された状態(合計10個)から、またさらにこの10個のペダルを選択します(マウスを押したまま全体を選択することも可能です)


レイアウトメニューから「選択したモデルをパッキング」をクリックします。


あくまでもこのパッキング方法は導入前にコスト計算をするために簡単に配置できる方法を記載しています。Fuse 1+についてはなるべく多く詰め込んだ方が生産性が良いので、より良い配置方法など確認されたい場合はお気軽にYOKOITOまでご相談ください。



今回はこの状態でコスト計算をしてみましょう。




⑥造形時間を確認する



右側に「要約」の項目があります。

推定時間の横に時計マークがあるので、クリックするとプリント時間とチェンバー冷却の時間がそれぞれでてきます。


今回の場合、

造形時間:7時間11分。

チェンバー冷却時間:9時間41分

造形後、ビルドチャンバーは決まった温度まで冷却しないとパーツの反りなどの原因になりますので、冷却が終わるまで開封を待ちましょう。


ということで、造形開始から、造形後冷却が完了してFuse 1+の扉を開けれるようになるまでは;

造形時間(7時間11分)+ チェンバー冷却時間(9時間41分)=16時間52分

となります。


1個あたりの造形時間を出したい場合は、今回の場合1造形10個のペダルですので


16時間52分 / 10個 =1時間41分となります。



⑦材料コスト計算をしてみよう

続いて、今ある情報からパウダー材料のコスト計算をしていきます。


同じく要約の箇所に「総パウダー量」と「パッキング密度」の項目があります。


総パウダー量にカーソルを合わせると、融合済みパウダー量と未融合パウダー量それぞれの数字が出てきます。


融合済みパウダーは実際に焼き固められた部分となるので、再利用はできませんが、未融合パウダーは次回も再利用できます。


また、パッキング密度の数字も同様に出ています。

パッキング密度とは、ビルドチャンバー内のパウダーの中で、実際に完全に焼結されたパウダーの割合を示す指標です。パッキング密度が高いほど、プリント終了後に未焼結のまま残るパウダーの量が少なくなり、廃棄しなければならないパウダーの量も減少します。


さて、ここまでで、今回の例での1造形あたり(ペダル10個)の材料コスト計算に必要な数字が揃いました。


今回は再利用できるパウダーは含まず、「融合済みパウダー量(実際に焼き固められ、再利用できないパウダー材料)」の数字からコスト計算をしたいと思います。


使用材料: Formlabs Nylon 12パウダー

材料の価格: 6kgで94,000円(税別)※2024年6月現在

造形パーツに必要なパウダー材料: 融合済みパウダー0.44kg



【コスト計算手順】

※金額の小数点以下は切り捨てています


1.融合済みパウダー量を確認

パーツの造形に必要な総パウダー量は0.44kgです。


2.パウダー1kgあたりの価格を計算

材料の価格は6kgで94,000円なので、1kgあたりの価格を計算します。


  • 計算式:パウダー販売価格(6kg)/ 6kg =1kgあたりの価格

  •  94,000円 / 6kg = 15,666円/kg


3.融合済みパウダー量からコスト計算をする

融合済みパウダー量(0.44kg)よりコスト計算をします


  • 計算式:融合済みパウダー量 * パウダー1kgあたりの価格=1造形あたりのパーツ材料コスト 

  • 0.44kg * 15,666円/kg=6,893円


上記の計算は今回ペダル10個を作りたい時にかかったコストになります。



4.ペダル1個あたりを算出したい場合は


  • 計算式:1造形あたりのパーツ材料コスト/1造形あたりの総個数=1個中のパーツ材料コスト

  • 6,893円/ 10個=689円/個



結果とまとめ

いかがでしたでしょうか。


今回は未融合パウダーも計算してみましたが、Fuse 1+では焼結されていないパウダーはFuse Siftで新しいパウダーとミックスすることで再利用ができるので、こちらのコストはあまり考えなくても良いかな、と思います。


焼結したパウダー(リサイクル不可)の分だけで考えると、ペダル1個あたり約689円で造形できるという結果になりました。


また造形時間は1個あたり1時間41分という結果です。


このようにPreFormを使ってコスト計算をすることで、Fuse 1+を使用したプロジェクトのコスト管理を事前にシミュレーションができます。


材料コストの計算はプロジェクトの成功に不可欠な要素です。効率的なコスト管理により、製造プロセスを最適化し、予算内で高品質な製品を提供することが可能となります。



編集後記

PreFormは、ボタン一つで自動配置ができるなど、とても使いやすいソフトウェアです。


私自身、以前はこの業界にいなかったため、スライサーソフトを初めて使うときは不安でしたが、PreFormの直感的な操作性により、「これなら自分でもできる」とすぐに安心したのを覚えています。


また、導入前でも無料でダウンロードできるため、気軽に各種コスト計算を試してみることができるのも大きな魅力です。

実際に使ってみて、操作性を確認しながらコストを計算できるのは、導入前の重要な判断材料となるでしょう。


造形するモデルやパッキングレートによってコストは変動しますので、ぜひお手持ちのモデルを使ってさまざまな設定を試してみてください。


PreFormを導入前にも活用することで、導入後は経済的かつ効率的に3Dプリントが行えるでしょう。




参考情報

参考リンク

Formlabs公式ウェブサイト https://formlabs.com/jp/

PreFormダウンロードページ https://formlabs.com/jp/software/preform/

お問い合わせフォーム https://www.form2.shop/inquiry-sls


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